群衆行動シミュレーション

群衆行動シミュレーション(Crowd Simulation)とは,主に,自律的な意思決定が可能な行動主体から構成される密集空間において,その集団としての振る舞いを再現・観測するための手法である.
当該分野において対象とされる研究では,主に,集団の振る舞い全体の効率化などを想定した環境やシステムの設計のための分析として用いられる.その他にも,特定の条件を付加することで,集団がもつ系としての挙動の変化をもたらす要因の分析にも用いれる.
群衆行動シミュレーションのモデルとそのモデルを用いて実装されたツールとしては,以下のようなものがある.
などがある.

歩行者シミュレーションモデル

空間スケールの違い

  • 室内レベル
  • 個々の歩行者間に生じるインタラクションをどう表現し,実装 するか一番の問題.出口の混雑や,交通流の交差などの表現に 関わる.
  • 都市レベル
  • 各歩行者のODデータ(移動経路)をどのように設定するのかが一番の問題.
  • 建物レベル
  • 歩行者同士のインタラクションが,移動経路の決定に影響を与 える可能性があるため,たぶん一番めんどう.

シミュレーションの開発プロセス

  1. 仮定に基づいてアルゴリズム(モデル)を設計
  2. 実際の現象との擦り合わせによるモデルの検証

歩行者モデル

巨視的な現象をシミュレーションを用いて解析する場合,対象とする現象によって,歩行者モデルに求められる精度は異なるため,(おそらく)多くのモデルが提案されている.例えば,歩行速度は可変とするのか.身体は,円もしくは球として扱うのか.衝突回避などはどうするのかなど.以下は,そのうちのいくつかである.

  • 和田モデル
  • たぶん有名ではない.というか,名前を決めるほどの ものではないかも

    人体は,円で表現.歩行速度は,標準速度と最大速度を決めている.目的地を線分であたえ,その線分上のいずれかを目的地として定める.身体の同心円でパーソナルスペースを定義.

歩行者同士の相互作用

群集行動のモデルは,空間の密度によって様相が異なることが一般的な見解になっている様子である.ただ,その様相が異なる理由に関して合理的な説明は見当たらない.個人的な見解としては,パーソナルスペースに基づく集団の中での個人の振る舞いの変化が正しいとするならば,密度の違いにより空間内の発生する歩行者間のインタラクションのネットワークのクラスターサイズが異なるためではないかと考える.次元を持たない空間上でにおいて,ランダムグラフを生成(N個のノードが存在するときに,任意の2ノード間のリンクをつないだ場合)したとき,経験的に NlogN 程度のリンクがあれば,その空間内のノードは連結グラフとなることがある.平面空間では,空間的な制約を伴い,双方向グラフとはならいであろうから,NlogN 以上のリンクを必要とすると思われが,高密度の場合にこのようなネットワークが発生している場合には,個人の行動決定が,近隣との相互作用だけでなく,遠くで発生した事象の伝播や,境界での作用など,外部性を考慮する必要があるためではないかと考えいる.

以下は,個人の視点からボトムアップに集団行動のモデルを対象としている研究を並べる.

群集流動のモデル
原文雄
バイオメカニズム学会(1978), pp.3--11
- 同調現象

前方の歩行者に追い付いて,歩調を合わせる.退勤時や買物群集の歩行でみられる

- 反撥現象

前方の歩行者に追い付いて,速度を上げてぬく.出勤時にみられる


中村,吉岡のモデル

歩行者の行動状態(場所,速度)は,1) その個人がおかれている物理的環境,2) 他の歩行者の行動,3) その個人が持つ特殊な条件

速度を構成する要素
方向の決定: 1) 方向保持性,2) 目的地指向性, 3) 境界沿行性, 4) 境界離反性,5) 混雑域回避性 6) 他個人回避性
歩速の決定: 7) 歩測保持性 8) 期待歩測希望性 9) 混雑域予測減速性 10) 境界減速性 11) 他個人減速性

歩行者密度と速度の関係

群集の密度と歩行者の速度には一定の関係があるとする観測結果があり,その関係性を表した式がいくつか提案されている.以下は,StarLogoによる交通渋滞現象の解析から引用

  • Greenshields: v = vf(1-k/kf)
  • Greenberg: v = vc ln(kj/k)
  • Underwood: v = vf e-k/kc
  • Drake: v = vfe-0.5(k/kc)2
  • Drew: v = vf[1-(k/kj)(x+1)/2]
  • Munjal-Pipes: v = vf(1 - k/kj)n

なお,vは速度,kは周囲の密度, vfは自由歩行速度, vf,kc限界密度,kjは飽和密度を意味する.建築設計資料集成にある一方向流における密度と歩行速度分布のデータはおそらくDrakeによる結果に近いと考えられる.

建築設計資料集成: 第5章 群集・安全
日本建築学会編[人間]
丸善(2003), pp.125--137

歩行者ダイナミックスに関する実験

映像を利用した観察

画像内での一人一人の移動の軌跡をもとめ,平均速度を計算.軌跡の抽出は,パターンマッチング?

仮想環境を利用した実験

駅シミュレータを用いた避難行動特性に関する基礎研究
石突 光隆, 山本 昌和, 青木 俊幸
鉄道総研報告(2008), pp.17--20
シミュレータと書いてあるけど,内容を読むと仮想環境を使ったようす.まぁ,それでもシミュレーションとはいうけどさ.
ところで,光源の有無によって行動決定要因が異なるというような報告がなされているけど,分析が中途半端で分かりにくい.

シミュレーションモデル別関連研究

Crowd Simulation・群衆シミュレーション

Simulating dynamical features of escape panic
Dirk Helbing and Ill{\'e}s Farkas and Tam{\'a}s Vicsek
Letters to Nature(2000), p.487--490
ヒトの集団行動の最も悲惨な形態の1つが、パニックによって引き起こされる群衆の殺到であり、しばしば人々が押しつぶされたり踏みつけられたりして大惨事に発展する。ときには、こうした行動は、混み合った建物の中での火事のような、生命が脅かされる状況が引き金になるが、他にも席の奪い合いや、これといった理由のないままに群衆の殺到が起きることもある。技術者たちは、こうした惨事の規模を抑える方法を見いだそうとしているが、集団事件の回数や大きさは、ともに増えているように思われる。しかし、パニック行動についての系統的な研究や、このような群衆の動態を予測できる定量的理論は数が少ない。今回我々は、群衆の組織だっていない動きによる、パニックと混雑のしくみ(とそれらの前提条件)を調べるために、歩行者行動のモデルを使ってみた。我々のシミュレーションからは、危険な群衆の圧力を防ぐ実際的な方法が示唆された。さらに我々は、煙の充満した部屋から脱出する最善の方法を見つけたが、それは、個人の行動と集団の「群がり」本能をうまく混ぜ合わせたものである。(引用)
Simulation of Pedestrian Crowds in Normal and Evacuation Situations
Dirk Helbing, Ill{\'e}s Farkas, P{\'e}ter Moln{\'a}r, Tam{\'a}s Vicsek
Pedestrian and Evacuation Dynamics(2000), p.21--58
Simulation of Pedestrian Dynamics in Case of Emergency Evacuation in a Community
Nirajan Shiwakoti
??(??), p.??--??
Modeling Individual Behaviors in Crowd Simulation
Adriana Braun, Soraia R. Musse, Luiz P. L. de Oliveira, Bardo E. J. Bodmann
Proceeding of International Conference on Computer Animation and Social Agents (CASA 2003)(2003), p.143--148
Helbing's Model Simulation をベースに開発?
個人の振る舞いは個人の特性やグループ構造(group structure)に依存するということを動機としている.
group structure 次第で,行動が変わることがる.エージェントの行動をより豊かにすることが目標.
The first contribution of our work is to attribute individuality to each agent, and thus allows the model to deal with defferent agent behaviors genereated as a function of individual parameters.
The second fundamental aspect in this model is possiblilty of groupping people.
  • Helbing's Model Simulation
  • Helbing prosposed a model based on physics and socio-psychological forces in order to describe the human crowd behavior in panic situations. 粒子系シミュレーション.
Simulating Escape Panic Based on the Mechanism of Asymmetric Information Distribution
Jian-xun Chu, Jing-jing Li, Meng Xu, Li Zhao
Complex Systems Summer School Final Project Papers(2005),
In this paper, we propose a new method to study escape panic. Different from traditional approaches using physical and psychological forces to characterize collective behaviors, our emphasis is mainly placed on the differences between every individual of the large crowds by introducing the concept of asymmetric information distribution, namely some individuals hold more information while others do not, to investigate the efficiency of escape under such scenario. Based on this concept, some new patterns during escape can indeed be found in our framework, which could also be used as a strategy for guiding the escape.
Escape Panic, Multi-Agent System, Asymmetric Information Distribution, Super Agent
地震時の緊急避難行動を予測するシミュレーション手法の開発に関する基礎的研究
堀 宗朗,犬飼 洋平,小国 健二,市村 強
社会技術研究論文集(2005), p.138--145
パニック状況を想定としたシミュレーション開発?
エージェントのモデル
  • 力学現象としての制約も無視できない
  • 群衆内の人の動きに関する実測データは欠かせない
避難行動シミュレーションの現状
  1. 物理モデル?
  2. 挙動を一定の法則に従って行動させる手法.建物の動線設計では,群集を流体とみなし,移動速度や密度を求める.

    そのほか,ポテンシャルモデルが提案されている.経路の空間特性や,避難する個人の特性,災害状況に対して適切なポテンシャルを設定することで,様々な避難行動のシミュレーションが可能.ただし,ポテンシャルの決定に合理性はないらしい.

  3. セルオートマトン法
  4. セル間の遷移確率を使った単純なルールに従ってセルの状態変化を計算する手法.

    定量的な予測も可能らしいが,セルオートマトン法の強みではないらしい.けど,本当?

  5. マルチエージェントシミュレーション
  6. 「多数の自立した主体からボトムアップにシステムを構成する」手法として定義しているらしい.適切なエージェントを設計すれば信頼度の高い結果が得られるためとあるが,適切にとは?信頼度が高いとは?

とりあえず,根拠は良く分からないけど,エージェントモデルを採用したらしい.それと,プリミティブな動作としては,「みる」「考える」「動く」のみとしているらしい.だからどうした.エージェントのパラメタは,目的地と歩行速度.あと,同じ通路を通らないための記憶らしい.2度は通らないのはどうなのだろうか.

なお,外部環境は,構造内の通路と,周囲のエージェントだけらしい.

パラメターとしての移動速度は,実験からきめるとの こと.どうきめるんだろ.

エージェントのモデル
  • 「みる」
  • 半径R内にある通路と他のエージェントの位置を見る,通路は出口や他の通路への経路の要素も見える.

  • 「考える」
  • 出口方向を目的とした方向を決定

    進行方向にD[m], 左右にD[m]の長方形の領域にいる 他のエージェントの有無によって方向と速度を修正する. まぁ,障害物をよける動作?

  • 「動く」
  • 「考える」できめた方向に移動する.あとは,壁にぶつかったら壁に沿って移動らしい.

マルチエージェントシミュレーション,緊急避難行動,地震災害,人的被害,構造物被害
マルチエージェントシステムを用いた津波避難シミュレーションモデルの開発
渡辺 公次郎,近藤 光男,野澤 征司
社会技術研究論文集(2005), p.138--145
KK-MASを用いたシミュレーション
津波,避難,防災まちづくり,マルチエージェントモデル
個別要素法を用いた被災時の避難シミュレーション
清野 純史, 三浦 房紀, 八木宏晃
土木学会論文集(1998), No.591, p.365--378
研究としては面白い部分はすくないが,前書きは参考になりそう.
distinct element method, emergency evacuation, underground shopping area, earthquake disaster
Simulation for pedestrian dynamics by real-coded cellular automata (RCA)
Kazuhiro Yamamoto, Satoshi Kokubo, Katuhiro Nishinari
Physica A(2007), No.379, p.654--660
Lattice pedestrian dynamics, Real-coded cellular automata, Crowd
先読み行動を考慮した歩行者交通流シミュレーション
浅野 美帆, 桑原 雅夫
生産研究(2007), Vol.59, p.184--187
  • 歩行者同士の回避行動
    • 磁石モデル?
    • 効用最大化モデル
    これらのモデルの問題点?
    複数の方向の交通流が錯綜する歩行者特有の状態において,交通容量の低下や歩行者の移動負担増の評価が行われていない?特に,容量近傍において歩行者行動の再現性の評価がなされていない.らしいけど,これが具体的にどういう問題をひきおこすのだろうか.
    歩行者の行動モデルが,歩行者の位置や速度のみを用いて次の時刻の移動速度を決定するモデルが主であり,他の歩行者が次にどこに移動するのかなどの予測が組み込まれていない.
    また,移動速度の決定に「他の歩行者をやり過ごしてから直進する」といった戦略的な移動計画を行えるようなモデルとなっていない.
    A Cognitive Model of Crowd Behavior Based on Social Comparison Theory
    Gal A. Kaminka, Natalie Fridman
    AAAI Workshop on Cognitive Modeling(2006), pp.25--35
    Social Comparison Theory [Wikipedia] をベースとして群集行動のモデル化を試みている.
    key idea は,humans compare themselves to others that are similarってどういうこと? しかも,自身の状態を判断する客観的な手段が欠けている状態でって.同調のお話?
    とりあえず,SCTのアルゴリズムフレームワークをつくってみて,それを評価してみたとのこと.SCTモデルだと,歩行者全体の動きが改良されて,群衆内での相互作用の説明もしやすくなる?あら,Soar をベースにしているそうだ.
    社会心理学: 群集のなかの個人の行動を観察すると,他者の行動と同じ振る舞いをしていることが観測できる.それらは,協調的な行動をとっているようであり,一つの心をを持って活動しているようでもある.だが,それらは,決して言語を介したコミュニケーションから成立したものではない.
    "Collective Mind"
    Le Bon は,個体が群集に取り込まれる様子を,個体が自我を失っているようだとしるしている.また,群集となる過程を2つのプロセスで説明している.1) Imitation: 群集の中では他者をまねる, 2) Contagion(感化): 群集の中では,普段とは異なる行動をする.Freudは,Le Bon の提言を,リーダーを定義することで,リーダーとそれを真似る多数で群集が形成できるとした.
    Allport は,ではその群集が形成される始まりはなにかに 着目して,個体に"common stimulus(刺激)"が生成された ときに,群集の一部となると提言した.Allport は,Le Bon の意見を指示したが,彼の実験では,同じ振る舞いを することはあっても,同じグループとはならなかった.

    Computational Models:

    Reynolds: boid model

    Mataric: swarm
    Spatial behaviors: flocking combined of safe-wandering(move around without bumping), homing, dispersion(move away from other agents), aggregation(move towards other agents).
    swarm の特徴?

    Blue and Adler: Cellular Automata
    The focus is again on local interactions: コントロールはautomatonなので,次の行動は local neighborhoods できまる.それらルールは,レーン移動や,前進に関わっている.前方があいていれば,前進をし,そうでないならば,左右への移動を考える.

    Helbing:
    attration and repulision(反発力)
    歩行者は,障害物と他のエージェントに反応する.この研究では lene formation を示した.

    本研究では,cognitive model of crowd behavior. simplistic CA と particle models で 発見できる現象, 群集内でsubgroupに依存する歩行者に見られるレーン移動の選択, を対象とする.
    A Model Based on Social Comparison Theory
    Social Comparison Theory をベースに.

    避難誘導,ナビゲーション

    群衆流動シミュレーションによる大規模小店舗の誘導計画立案に関する研究
    角方 健一,渡辺 仁史
    日本建築学会 大会学術講演梗概集(2006),
    大規模小店舗においては,避難安全検証は行われているが,入棺・回遊行動などの安全検証は行われていないという出発点から,危険と思われる個所での歩行者の挙動・性状を把握することで,誘導計画を検討することが目的らしい.
    使っているモデルは
    • 粒子動力学法群衆シミュレーションモデル
    • エージェント指向群衆シミュレーションモデル
    密集空間を対象とした総合避難誘導シミュレーションシステム研究
    (2003),
    調査研究?
    群集流動シミュレーションにおけるグループ歩行表現導入の有効性
    藤原 大三郎,渡辺 大地
    東京工科大学 メディア学部 卒業研究(2003),
    密集空間でのグループ行動が,全体の流動にどのような影響を与えるのかを調べているらしい
    車いすと群集流の避難実験
    宮崎恵子、今里元信、池本義範,他
    (),
    船内の通路を想定した環境下での,車いすを含めた通路の歩行状況の検証.主に歩行者の密度と大まかな行動パターンを想定した状況で,どのような振る舞いをするのか観察している.また,本論文での実験をもとにコンピュータシミュレーションのモデルを構築する材料としている.
    車いすと群集流の避難シミュレーション
    松倉洋史、勝原光治郎,他
    (),
    事前学習・誘導情報の形態が避難行動に及ぼす行影響
    掛井秀一, 佐藤博臣, 佐古順彦
    日本建築学会大会学術講演(1998), pp.109--110
    既存の研究によれば避難経路を実際に避難しているようにアニメーション表示するウォークスルーによる経路の事前学習の法が,経路図による事前学習よりも経路探索に要する時間が短くなる,て情報量が多いから当たり前かな?
    避難最中の誘導情報の提示には静的な表示が用いられるが,状況の変化に対応できない.

    実験方法
    学習方法: 「経路図学習」「移動学習」「未学習」
    誘導情報: 「経路図情報」「矢印情報」「複合情報」
    仮想空間上での実験,3個所の出口をめぐって終了?
    学習が何だか良く分からない.
    実験結果で,避難者は矢印よりも経路図を好むとあるけど,それは,情報に対する信頼度の問題じゃないかなぁ.

    経路図から判断した移動方向と矢印の指す方向が異なった場合には,自身の判断を優先する可能性が高い.如何に信頼感を損なわないかが重要ということでいいのかな.
    避難行動に事前学習・誘導情報が与える影響に関する心理学的考察 - その1 -
    掛井秀一, 佐藤博臣, 井端泰裕, 佐古順彦
    日本建築学会計画系論文集(2000), No.535, pp.139-146
    ウェアラブルコンピュータが実用的な製品として提供され るようになれば,パーソナルな誘導情報を避難者へ直接伝 えることも実現される可能性があるという状況を想定した 論文.
    いつ,何を,どのように伝えるのかという分析が必要.

    ホテルや地下街などのような不特定多数の人が利用する場 所では,自分がいる場所の構造を十分把握している可能性 はひくいので,逃げるときには経路探索行動になってしま うだろう.という仮定.
    目標地点をもった経路探索活動において認知される複雑さ との相関が実験的にしめされりている指標としてICDが提 案されているらしい.
    ちなみにICDの計算方法は,
    ICD = 各分岐点および曲がり角に接続する通路の数/その総数

    大規模マルチエージェントシミュレーション環境

    シミュレーションと拡張現実(AR)との融合

    局所空間での群集行動の観測

    廊下での対向流におけるレーンフォーメーションや,T字路・十字路における個体行動を対象とした研究.主に,実験空間,実空間を対象とした観測ならびに,流れの抽出に関した研究が多い.

    An Agent-Based Simulation of Pedestrian Dynamics Lane Formation to Auditorium Evacuation}
    Marcelo C. Toyama, Ana. C. Bazaan, Roberto da Silva
    International Joint Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systems(AAMAS2006)(2006), pp.108-110
    レーンフォーメーションを再現するための?エージェントモデルの研究.
    群集流の観測に基づく避難施設の研究
    戸川 喜久二
    建築研究報告(1955), No, 14, pp.1--29
    群集交差流動における歩行小集団の可視化に関する研究
    高柳英明, 佐野友紀, 渡辺仁史
    (), pp.
    群衆交差流動における歩行者領域確保に関する研究- 歩行者領域モデルを用いた解析 -
    高柳英明, 佐野友紀, 渡辺仁史
    日本建築学会計画系論文集(2001), pp.185--191
    一般的な群衆モデルは,群集流動を定常化した流れとしており,時間の流れに伴うダイナミックな歩小集団の変異に着いて言及していない.って微妙にスケールが異なるような気もするけど
    パーソナルスペースという考え方があるけど,それは,状況によって変わるから,小集団が形成されるんじゃないかと考えているみたい.

    調査方法
    ビデオカメラを駅,スクランブル交差点に設置して撮影.対象の選択理由は,歩行の主目的が移動であること,対向流が交差する,群衆の密度が変化する.
    ビデオの観察から,仮説を設定してモデル化.結果はシミュレーションとの比較.

    歩行領域モデル
    任意の歩行者が,他の歩行者から受ける影響により追随や回避する行動は,他の歩行者の重心位置に設置された電荷ポテンシャルんと運動方程式を用いて岡崎らが説明しているものを採用しているぽい.
    あと,小集団のパーソナル領域をBezier Clipping法による Blogs として表現しているみたい.これは,視覚化と,あとは,集団への侵入可能かどうかの判定などにつかっているみたい.
    歩行者の最適速度保持行動を考慮した歩行行動モデル -群集の小集団形成に見られる追跡=追従相転移現象に基づく解析数理-
    高柳英明, 長山淳一, 渡辺仁史
    日本建築学会計画系論文集(2006), pp.63--70

    歩行者の最適速度保持行動と定義し,それを数理モデルとして記述することで,これまで難しいとされてきた低密度から高密度雑踏空間歩行シミュレーションを可能とする.らしい.


    歩行行動の基本要素とその作用対象
    目的地の到達(最終的な?)目的地を定めて到達
    圧迫・衝撃に対する拮抗直接的な接触?
    回避行動衝突の回避
    追従行動一定の速度を保つ
    追跡行動流れを形成.前方の個体に接近する
    随行行動壁や通路に沿って歩く
    空隙探索行動割り込み,追い越し
    知的判断社会規律を守る
    ナビゲーション直近方向指示(ローカルナビ), ナビシステム(グローバルナビ)

    最適速度保持モデル(Optimum Velocity Model) :交通流における追従挙動をモデル化したものをベースと して歩行者も考えてみようとしているらしい.POD(Ped's Optimum Velocity Model)


    物理指標からみた交錯についての実験的研究 群衆流動横断の歩行特性に関する研究
    佐野 友紀, 志田 弘二, 建部 謙治
    日本建築学会計画系論文集(2001), No.546, pp.127--132
    空間─時間系モデルを用いた歩行者空間の混雑評価
    佐野友紀, 高柳英明, 渡辺仁史
    日本建築学会計画系論文集(2002), No.555, pp.191--197
    多対多の群集が,多数の方向から交差する状況を対象としてる.
    対向時の交差パターンに関して細かい分類がされ,干渉時間などを分析している.単なる,密度と速度だけを利用した混雑度の評価ではなく,混雑の要因を集団の干渉に因るものと仮定した上での混雑度評価を行っている.
    非常時の群流流動の混雑評価?
    すでに発表した論文での歩行小集団モデルと,その集団同士の干渉を記述する手法は示しているので,この論文では,他方向群集流動における相互作用のモデル化を試みるらしい.
    この仮定が正しいとするなら,干渉しないように小集団化を促すような空間構造が望ましいということになるけど,それはどのように求めるのだろうか.
    交差流動の構造
    中 祐一郎
    日本建築学会論文報告集(1977), No.258, pp.93--102
    群集対向流動の解析
    加藤邦夫, 上原孝雄, 中村和男, 吉岡松太郎
    日本建築学会論文報告集,(1980), No.289,pp.119--129

    人流の計測・抽出

    確率的予測に基づく人流計測
    新村 貴彦, 新井 啓之, 井上 潮
    情報処理学会 研究報告 2004-CVIM-143(2004), pp.119-124
    斜め下向きに設置されたカメラ画像から,オプティカル フローや背景差分を利用して人流の計測をする研究
    斜めからの画像では,三次元位置の不定性(画像のゆが み?)が発生するらしく,観測値と物理量とを一意に決 定することが難しいらしい.
    ということで,より正確に物理量を手にいれるために, 見かけの観測値と実空間での物理量を確率的にとらえる ,つまり見かけの速度場および背景差分から実空間での 移動速度および人数の期待値を算出するらしい.
    画面上の群集の占有面積から測定するっぽいけど,詳細 はちょっとわからない.
    Experimental Research of Pedestrian Walking Behavior
    Winnie Daamen, Serge P. Hoogendoorn
    Transportation Research Record, Vol.1828,(2003), pp.20--30
    Walking infrastructure の設計の評価にmicroscopic, macroscopic な人流モデルを活用する.より適切な人流モデルを構築するには,より詳細な人流データが必要なので実験データを取ったらしい.
    the narrow bottleneck experiment: 小規模なデータは,日本や香港にあるけど,ヨーロッパのものはなく,きっと(文化的に)歩行者の行動はことなるのではと考えているらしい.
    プライバシーの問題から,現実環境から同意を得るのは難しい.
    あとは,天井が低いためにビデオカメラを"理想的"な位置におけない.
    ユニーク実験?集めたビデオデータからマクロとミクロの関係を抽出.
    実験方法?
    歩くスピードとエネルギー消費の関係や,歩行スピードへ影響を与える要因,群集よって利用される空間を調べる.自己組織化?歩行者同士の協調
    歩行者の移動スピードの要因として,
    personal characteristics of pedestrians[年齢,性別,体格(size), 健康状態, etc.]
    移動過程の特徴(characteristics of the trip)[移動目的(walking purpose),ルートの認知度(route familiarity), 荷物(luggage), 移動距離] 環境状態(properties of the infrastructure)[type, grade, attractiveness of environment, shelter], environmentara chracter[ambient, 天気]
    外部要因?(たぶん外部性)として,歩行者の密度なども考えられる.
    これに関するサーベイ論文?を取り上げているけど,ドイツ語見たい.
    歩行者が利用する空間では,縦方向と横方向の遣われ方が重要.
    例えば,歩行者は一直線に歩くことはあり得ない.歩行に必要な横幅は歩くスピードに依存する?でも,横は対したことはなく,重要なのは縦(進行)方向みたいで,経験的に求められている
    A(V) = A_jam - 0.52 ln(1 - V/V_f)
    V はwalking speed, V_f は自由歩行の時のスピードで = 1.34 m/s, A = LW で必要なエリア(Lは長さ,Wは幅),A_jam は歩行のじゃまとなり始めるエリアで=0.19m^2となっており,これらは案目的に決定されている数値.
    Collective behavior and self-organization:

    対向する流れは,分離(レーン)ができやすい.これらは dynamic lane formation or streaming と呼ばれる現象である.レーンフォーメーションの要因としては,di-directional pedestrian flow の場合にはキャパシティのロスを相対的に小さくするため?レーンの向き?は,交通法規が右側か左側か決まっていることがおもしろいとあるけど,そうなの?
    同じ方向に歩いている歩行者はクラスタになりやすい.

    Walking behavior and interaction

    scanning:障害物をどのように認識するのか.(Relations in Public: Microstudies of the Public Order, 書籍?)
    high degree of cooperation between pedestrian:歩行者行動の本質的な部分,他者を障害物として捉えるよりも協力的に捉える

    Towards a Cognitive Model of Crowd Behavior Based on Social Comparison Theory
    Natalie Fridman, Gal A. Kaminka
    National Conference on Artificial Intelligence (AAAI-07)(2007), pp.731--737
    まだ読んでいないので,あぶすと
    Models of crowd behavior facilitate analysis and prediction of human group behavior, where people are affected by each other’s presence. Unfortunately, existing models leave many open challenges. In particular, psychology models often offer only qualitative description, while computer science models are often simplistic, and are not reusable from one simulated phenomenon to the next. We propose a novel model of crowd behavior, based on Festinger’s Social Comparison Theory (SCT).We propose a concrete algorithmic framework for SCT, and evaluate its implementation in several crowd behavior scenarios. Results from task measures and human judges evaluation shows that the SCT model produces improved results compared to base models from the literature.
    監視カメラ映像中の局所的な動き検出とイベント累積による時間的かつ空間的な混雑度調査
    庭川 誠, 恩田 寿和
    電気学会論文誌D, Vol.124, (2004), No, 10, pp.1060-1066
    Extracting Microscopic Pedestrian Characteristics from Video Data
    Serge P. Hoogendoom, Winnie Daamen, Piet H.L. Bovy
    TRB(2003), pp.CD-ROM
    天井カメラを使った Pedestrian Flow の計測

    Pedestrian flow characteristics discussed by Weidmann are
    1. Free walking speeds and their dependence on personal and trip characteristics, environmental and weather conditions, etc.
    2. Relation between speed and density
    3. Capacities of pedestrian facilities
    observe that average speeds depend on the use of the walking facility. for examples, pedestrians in commercial areas walk faster tha in shopping malls

    Obeservation techniques for pedestrian flows
    The use of photographs of video has the advantage that the observations are not restricted to local measurements.
    Pedestrian stream のスピードなどをvideoデータから 計測している例はある.
    画像からの移動物体のトラッキング
    • the raw images are corrected
    • the objects are detected, frequently by first determining the empty scene, which is then subtracted from the images from which the objects are to be detected.
    • objects are detected and tracked through a sequence of images.
    関連学会・国際会議

    学会・論文誌

    • 人工知能学会
    • 計測制御自動学会
    • Physica A
    • Physical Review E.

    国際会議

    • International Conference of Autonomous Agents and Multi-Agent System(AAMAS)
    • IJCAI
    • 人工知能全般の国際会議
    • ECAI
    • PRICAI
    • AAAI
    • Pedestrian and Evacuation Dynamics(PED)
    • 歩行者避難に関する国際会議

    • International Conference on SIMULATION, MODELING and PROGRAMMING for AUTONOMOUS ROBOTS(SIMPAR)

    WorkShop・シンポジウム

    シミュレーションツール
    • KK-MAS (構造計画研究所)
    • シミュレータデモプレイヤ,デモあり.
    • ArtiSoc (構造計画研究所)
    • Java版KK-MASらしい
      シミュレータデモプレイヤ,デモあり.
    • Any Logic
    • - AnyLogicの説明
      既存製品で唯一のマルチ・パラダイムシミュレーション・ツール らしい.
      体験版(15日間),サンプルあり.
    • Legion Studio
    • - Legion Studioの紹介
      - Legion Studioの説明スライド

      ホームページに示された資料などによると,オリンピックの会場設計などにも協力したのものらしい.エージェント数500体までの1時間(計算時間)ほどのシミュレーションで,年間30万とのこと.体験版は見つからず.
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    参考サイト
    参考書籍